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札幌地方裁判所 昭和50年(わ)260号 判決 1975年10月29日

1 本店所在地

白老郡白老町字白老五六四番地

法人の名称

道南綜合土建株式会社

代表者

代表取締役 道見義正

2 本籍

白老郡白老町字白老五九六番地

住居

同 郡同 町字白老五六四番地

職業

会社役員

氏名

道見義正

昭和八年九月二六日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官鈴木実出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社道南綜合土建株式会社を罰金六〇〇万円に、被告人道見義正を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人道見義正に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人道南綜合土建株式会社は、白老郡白老町字白老五六四番地に本店を置き、貨物運送及び宅地造成を事業目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人道見義正は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人道見義正は、同会社の総務部長東峯松雄と共謀のうえ、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、収入金の一部を除外若しくは繰延し、又は架空原価を計上して仮名の銀行預金をつくるなどの不正な方法によつてその所得を秘匿したうえ

第一、昭和四六年四月一日から同四七年三月三一日までの事業年度の所得金額が一、一四七万九、六五五円であり、これに対する法人税額が三九四万五、六〇〇円であるにもかかわらず、同四七年五月三〇日、苫小牧市旭町三丁目四番一七号の所轄苫小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二七六万四、〇三七円であり、これに対する法人税額は七六万三、五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額三一八万二、一〇〇円を免れ

第二、同四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度の所得金額が三、九七八万九、八七二円であり、これに対する法人税額が一、四〇五万三、〇〇〇円であるにもかかわらず、同四八年五月三〇日、前記苫小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一、三八四万九、七三六円であり、これに対する法人税額は四五四万〇、〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額九五一万三、〇〇〇円を免れ

第三、同四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度の所得金額が六、四三八万三、四〇九円であり、これに対する法人税額が二、三〇八万八、四〇〇円であるにもかかわらず、同四九年五月三〇日、前記苫小牧税務署において、同税務署長に対し、所得金額は二、五四六万五、三五一円であり、これに対する法人税額は八七九万六、一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税額とその申告税額との差額一、四二九万二、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判事事実全部について

一、被告人道見義正の当公判廷における供述

一、被告人道見義正の検察官に対する供述調書

一、被告人道見義正の司法警察員(収税官吏)に対する各質問てん末書

一、東峯松雄、松永ヨシの検察官に対する各供述調書

一、東峯松雄、松永ヨシの司法警察員(収税官吏)に対する各質問てん末書

一、司法警察員(収税官吏)矢野均ほか三名作成の調査事績報告書

一、司法警察員(収税官吏)小橋五朗ほか二名作成の調査事績報告書

一、札幌地方検察庁で保管してある法人税決議書一綴(札幌地方検察庁昭和五〇年領第六四五号の一)、同ノートブツク(前同領号の三)、同四六年度金銭出納帳預金出納帳一冊(前同領号の三一)、同四六年度元帳(上期)一冊(前同領号の三二)、同四六年度元帳(下期)一冊(前同領号の三三)、同手形記入帳一冊(前同領号の二〇)

一、登記官作成の登記簿謄本

一、検察事務官作成の電話聴取書

判示第一の事実について

一、中央鋼建産業株式会社代表取締役作成の「取引内容照会に対する回答」と題する書面

一、司法警察員(収税官吏)杉本正之ほか二名作成の調査事績報告書

一、札幌地方検察庁で保管してある領収書綴一綴(札幌地方検察庁昭和五〇年領第六四五号の五五)、同メモ(ノートブツク)綴一綴(前同領号の一〇一)、ゴム印二個代表者印二個入袋一袋(前同領号の九五)

判示第二の事実について

一、白老町長作成の「白老町公共下水道新設工事の発注状況について(回答)」と題する書面

一、毛笠勇夫作成の答申書

一、株式会社南出重工代表者作成の答申書

一、稲井木材株式会社代表取締役作成の答申書

一、札幌地方検察庁で保管してある四七年度金銭出納帳一冊(前同領号の二一)、同四七年度銀行関係帳一冊(前同領号の二二)、同四七年度元帳(上期)一冊(前同領号の二三)、同四七年度元帳(下期)一冊(前同領号の二四)、同四八年度会計伝票綴一綴(前同領号の二七の四)、同四七年度会計伝票綴六綴(前同領号の三八の五、六、七、九、一〇、一二)、同四七年度源泉徴収簿一綴(前同領号の三五)、同領収証メモ綴一綴(前同領号の九一)、同前掲ゴム印二個代表者印二個入袋一袋(前同領号の九五)、同ゴム印一個代表者印一個入袋一袋(前同領号の九六)、車庫新築見積書一綴(前同領号の九八)

判示第三の事実について

一、池野龍彦の司法警察員(収税官吏)に対する質問てん末書

一、白老町長作成の前掲「白老町公共下水道新設工事の発注状況について(回答)」と題する書面

一、株式会社丸和拓進土木代表取締役作成の答申書

一、東都商事株式会社札幌支店渡辺千代子作成の答申書

一、東都商事株式会社札幌支店支店長作成の「再答申書」と題する書面

一、小松建設工業株式会社苫小牧出張所白老作業所長作成の答申書

一、戸田建設株式会社札幌支店土木工事部長作成の答申書

一、司法警察員(収税官吏)杉本正之ほか二名作成の前掲調査事績報告書

一、司法警察員(収税官吏)佐々木弘樹ほか一名作成の調査事績報告書

(法令の適用)

一、判示所為

被告人道見義正について刑法六〇条、法人税法第一五九条(懲役刑選択)、被告会社道南綜合土建株式会社について、さらに同法第一六四条

一、併合罪

被告人道見義正について刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条(最も犯情の重いと認められる判示第三の罪の刑に加重)

被告会社道南綜合土建株式会社について同法第四五条前段、第四八条第二項

一、刑の執行猶予

被告人道見義正について刑法第二五条第一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 田口祐三)

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